(株)九州トラベルサービス 代表取締役会長 東 和範
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マーケットとニーズの変化に対応し常に「満足感」を提供したい
釣りのサークルであちこちへ意外なところで役立った学生生活
自身の会社を起業して、もう少しで20年目。信頼できるスタッフや、経理として手助けしてくれる妻、福岡県中小企業家同友会の仲間など、数多くの人たちのおかげで、ここまで歩んで来れました。創業20周年と私自身の古希を数年後に控え、私の歩みを振り返ってみます。
私は昭和25年、豊前市の生まれ。父が公務員だったことで、生後すぐに北九州に転居し、多感な時期を〝鉄の町〟で過ごしました。その後、福岡市に転居。10代の頃はスポーツが好きで、中学・高校では陸上部に所属したほか、サッカーや剣道などにもチャレンジし、我慢強さや忍耐力が身についたと思います。
その後、福岡大学の法学部に進学。法曹界を志して…と言えばカッコいいのでしょうが、実際は理系科目が嫌いで、法学部を受けたら合格したので入学したという、単純な理由でした。そのため、在学中は釣り同好会の仲間と各地の釣り場に遠征したり、友人から羨ましがられていたマイカーでフラッと出かけたりと、趣味に明け暮れていました。もちろん法律の勉強も、きちんと卒業できる程度には頑張りました(笑)。ともあれ、そんな大学時代の経験が、その後、仕事で役立つことになるとは想像もしていませんでした。
募集の苦労とツアー中の心労それでもやり甲斐のある旅行業務
就活の時期になり、自分にはどんな仕事が向いているのか考えているうち、釣り同好会で遠方に出かけたり、目的地を決めずにドライブしたりするのがとても楽しかったことを思いだし、新卒を募集していた旅行会社に就職しました。
最初のうちは先輩社員に付いて、あれこれと教えてもらうばかりでしたが、やがて一人前の社員としてツアーコンダクターの仕事を任されるようになります。旅行会社の辛さやキツさ、やり甲斐を知るのは、そこからでした。
一番のキツさは、『催行人数に満たない』という状況を作らないよう、参加客募集を直前まで行わねばならないこと。特に船をチャーターする場合、人数が集まらないとキャンセル料が発生するので、本当にギリギリまで営業しなければなりません。一度だけ、往復チャーターする予定だった船が、人数の都合で片道だけになってしまったこともあります。
旅行業界では『トラベルにトラブルは付きもの』という言葉があるくらい、旅行先での事故を防ぐため神経をすり減らさねばならないのも、ツアーコンダクターならではの大変さと言えるでしょう。インドネシアへのツアーに添乗した際、お客様が写真を撮るのに夢中になり、崖から落ちて大怪我をするという事故が発生したことがありました。旅行傷害保険があるので治療費等はカバーできましたが、やはり人的メンテは旅行会社側の責任。今でも忘れられない事件の1つです。
ツアー中の事故の責任が、旅行会社側にあるのかお客様側にあるのか、旅行業法では明確に決められています。そのためツアーコンダクターには、万が一の事態が発生した場合、応急処置や緊急連絡等を迅速にこなしながら、一方で事故原因をはっきりさせる冷静さが必要なのです。
そうした数々の心労はあるものの、やはり、自分で企画した大口のツアーが無事に終了し、お客様から「楽しかった、ありがとう!」などと声をかけられると、言葉で言い表せないくらいの満足感と充実感を味わえます。40歳半ばあたりから脱サラを真剣に考え始めましたが、その時も迷うことなく、「起業するなら旅行会社」と考えていました。
同友会で色々な方と知り合い経営の難しさとやり甲斐とを再認識
旅行管理者になるためには、「総合旅行業務取扱管理者」か「国内旅行業務取扱管理者」の資格を取得せねばならず、添乗員の旅程管理にも「国内」「海外」のカテゴリーがあります。
私が会社員時代に取得したのは「総合」の方で、自動車免許に例えると、普通車はもちろんタクシーも大型バスも運転できる大型二種のようなもの。合格率16%ほどの国家試験を受けねばならないのですが、大学の法学部でそれなりに(笑)勉強していたおかげで、一発合格できました。
この資格と、旅行会社で20数年間頑張ってきたノウハウがあれば、絶対に自分の会社を興せる…。そんな自信が確固たるものになった48歳、お世話になった会社への仁義として、顧客は全て会社に引き継ぎ、現在の会社を起業。立ち上げ当初から、ANAやJAL、JAS(当時)、JTBが応援してくれたこともあり、すぐに黒字経営にできると考えていましたが、現実はそう甘くはありません。JALやJTBとの業務契約に当たっては保証金が必要で、さらに旅行業はほとんどが前払い契約なので、準備していた資本金の半分は、それら前払い金で消えてしまいます。
残った半分で仕事を回さねばならないのですから、起業から2年間ほどは、とにかく資金繰りに苦労しました。会社員時代の後半は管理職の立場で、お金の流れを見る習慣が身についていたおかげで、何とか凌げたのだと思います。
仕事が軌道に乗り始めた頃、当社が入居しているビルのオーナーから、発足間もない中小企業家同友会に誘われ、経営の勉強をさせてもらうつもりで入会しました。当時の同友会には、鳥越製粉(株)前社長のような、押しも押されもせぬ地場中堅企業の代表者もおられましたが、自殺一歩手前の窮地に追い込まれながら、何とか経営を建て直した苦労人の社長もいました。どんなに高く大きな理想を掲げていても、それを実現するには、やはり一歩一歩を積み重ねていくしかないのだと、改めて勉強させてもらいました。
この同友会も設立54周年。中央支部で2期の副支部長と支部長、福岡地区の幹事長職を兼任した後、現在は県の総務財政室副室長として運営に携わっています。自社の経営の方は、私より20歳ほど若い人材を後継者に指名し、私は会長職に就任しています。
本当は、65歳になったら完全引退しようと思っていたのですが、まだまだ頭も身体も元気ですし、妻と一緒に気ままな旅をする楽しみは、もう少し先まで延ばしておいた方がより楽しくなりそうなので、もう少しだけ会社会長職として、同友会メンバーとして、そして(一社)福岡県旅行業協会の理事として、業界の発展に尽力しようと考えています。
他己紹介インタビュー
(株)福岡リロケーション 代表取締役 中野正志さん
10年前、東さんが中小企業家同友会の中央支部長で、私が福友支部長に就いていた頃、支部長同士で協力し合う機会があり、それ以来の付き合い。その後も、地区幹事会の幹事長を引き受けていただいたり、総務財政室副事長を引き受けていただいたりで、お互いに常に協力し合っています。
東さんとは、同友会の発展や会社づくりの相談をしながら飲み交わす機会も多いのですが、知り合った当初から『明るく陽気なおじさん』という印象でした。律儀で真面目。時間にも正確で、予定通りに行動されるところ、私の足りないところをカバーして下さるところは、今でも学ばせてもらっています。
声が大きく、以前は急にキレて驚かされることもありましたが、最近は丸くなりましたね(笑)。『和を以て尊しなす』を、地でいくような人です。
わたしの仕事を紹介させてください
(株)九州トラベルサービス(KTS)は、『信用と信頼』がキーワード。品物を販売する仕事ではありませんから、「KTSに頼んで良かった。来年の社員旅行も、またあそこに頼もう」と評価して下さるお客様を、1人・1社でも増やしていくことが、業務上の大きなテーマだと言えます。
JTB提携販売店として、JAL・ANA航空券販売店として、国内・外の各種パッケージツアーから団体受注型旅行、ホテルや航空便などの単体販売まで手がけていますが、常にお客様ニーズに柔軟に対応すること、そして、マーケット(旅行商品)の変化にマッチした提案を心がけることに力を注いでいます。
おかげさまで当社は、売り上げの大半をリピートのお客様が占めているため、他社との競合がほとんど発生しません。その分、ソリシター(嘱託従業員)を含む全社員が、各々の能力を最大限に発揮し、「お客様に夢を売る」仕事に邁進しています。経営者たる私自身も、革新的なアイデアをすぐに実行に移せるような、自由闊達な企業風土作りを心がけています。
【会社概要】
(株)九州トラベルサービス
〒810-0001
福岡市中央区天神4丁目1-18サンビル3F
TEL 092-738-1150
FAX 092-738-1160
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販売責任者:東 和範
登録番号:福岡県知事登録旅行業第3-508号
登録年月日:1999年7月1日
総合旅行業取扱管理者:東 和範
受託取扱主催旅行会社名:(株)JTBワールドバケーションズ、エースJTB、JALパック、ANAスカイホリデー
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